2012年9月28日金曜日

大福と平泳ぎ

出産の時の記憶をとどめておきたいと思いつつなかなか書けずにいたけど、そろそろ書かないと忘れちゃうのでかきまする。

自分の出産を例えるとしたら、大福と平泳ぎ。

入浴後破水したのが午前1時。
急いで支度して病院に着いたのが午前2時。
その時はまだ陣痛なし。

まっすぐLDR(Labor陣痛,Deliver出産,Recover回復)に入って触診。
子宮口3cm開いていたらしい。
その触診の最中に生理痛がひどいとき見たい痛みがぐぐぐ〜。っとくる。

「陣痛って生理痛の大きいのみたいなんですね。」と助産師さんに行ったら、「これから未知の世界が来ますよ〜。」と言われ、「未知の世界って〜。」とびびる。

まだ、陣痛の間隔があいてるので、いったん個室に戻って陣痛の間隔が狭まるのを待つ。

あ、きたきた生理痛の大きいの。
前に練習していた深呼吸をする。
最初は、ゆっくり吸って吐いてが出来た...。

うお、来た未知の世界。
内側からぐぐぐ〜〜っと押される何とも変な感触。
痛いと言うのでもないし、でもちょっと苦しいし。
思わず力が入る。
するとつかさず、助産師さん。「力入れないで〜。」

え、でも入っちゃうんですけど....。

わたしの心の声を聞いているかのように助産師さん「陣痛来たら、軟らかいものを想像して、息はいて、力抜くようにしてね〜。」

そうだそうだ。力が入ると子宮や産道が硬くなるんだ。ふ〜。

あ、また来た!
軟らかいもの軟らかいもの。
あ、大福。大福。ふ〜〜。

やれやれ、と一息ついたら、また、来た!
思わず手を握る。
するとつかさず、また助産師さん。「手にぎらないで〜。」

え、でも、にぎらさっちゃう〜〜〜。と思ってたら。またもや助産師さん間髪入れずに、「手握らない代わりにご主人に握ってもらってね〜。」

夫、手を握る。が、しかし、優しい人だから握り方が甘い。
「違う!もっと強く握って!!」とお願いではなくほとんど命令状態のわたし。

きたきた〜〜。
ぎゅっと目を思わず閉じる。
そしたら、またまた助産師さん。
「目はぎゅっとつぶっちゃだめよ〜。薄目開けて。じゃないと後で眉間にすごいしわの後つきますよ〜。」

でも、この状態で薄目出来ない。
というわけで、目を思いっきり開いてた。
今思うと、ちょっと怖い顔だったと思う。(笑)

1時間ぐらいしたら、未知の世界がさらに深まって、思わず力が....。
息がゆっくり吸ってるひまがなくなる。
ここで、また助産師さん。「息は素早く吸っていいよ〜。水泳みたい。吸うのは早くて吐くのゆっくりね〜。」

水泳ね、水泳。
わたしが思いついたのは平泳ぎ。
ぐぐ〜。っと来たら、大福想像して、プールの中を平泳ぎ。スッ。ハ〜〜〜〜〜〜〜。

大福。大福。平泳ぎスッ。ハ〜〜〜〜〜〜〜。

基本的にはこの繰り返し。

4時くらいには、間隔が短くなってLDRに移動。
もうその時には、歩くのもやっと。でも、そのくらいがいい感じみたい。

わたしの出産したクリニックはフリースタイルで分娩台が最初は真っ平らなベッド状態だから、その上で寝たり、かがんだり好きな体勢を取れるけど、わたしはオーソドックスにただ横になる。

あ、もうこの辺りから記憶が曖昧になってきてる。

とにかく。この未知の領域の内側から来るギュギュ〜〜という感覚は、痛いと言うか深いと言うか...。とにかく来る度、「大福。大福。平泳ぎスッ。ハ〜〜〜〜〜〜〜。」でやり過ごす。

夫が心配して声をかけてくれるけど、それが逆に気が散る。
で、イラ(# -_-)

「ちゃんとしっかり握って〜〜。」と強く言ってしまう。

いい感じで陣痛の間隔も縮まり、子宮口も開いてくる。
もうそろそろだということで、夫が両親に電話をしてくれ呼んでくれる。でも、その電話もちょっとでも長いと、イラッとする。早く電話切ってちゃんと手を握ってくで〜〜。

両親が到着して、脇で、夫と話すとまたそれもイラ(# -_-)

内心、「そこ!話さな〜〜い!」と言いたい気分満々。
それを、言ったか言わなかったか既に定かではない。

母が手助けをしたいと思って、妹の時と同じように背中をさすってくれるが、わたしの場合は、集中力が欠けるから、そこでもイラ(# -_-)

誰にも話しかけられたくもないし触られたくもない状況で、とっても可哀想だったけど、「触らないで!」と言ってしまった。
ごめんねお母さん。

5時ちょっと前にだんだん疲れてきて休みたい気分になったところに、隣のLDRでがんばってた妊婦さんが出産する。赤ちゃんの声を聞いたら、まだがんばろうと思う。

5時半頃、助産師さんが「6時頃が鍵なんですよね〜。それを過ぎるといったんおさまるパターンが多いんですよ。」と一言。そして、心電図のプリントを見せてくれて、「この陣痛の山が今は、一つ一つきてるけど、これが畳み掛けるように波のようにくるとしめたもんです。」と教えてくれる。

そこで、新たにやる気が...。

不思議なもので、陣痛って赤ちゃん側からのものだからこっちではコントロールできないものだと思っていたけど、そうでもなかった。一つぐぐ〜〜と山がきて、引いたときに、「やれやれ」とわたしがお休みモードになるとベイビーもお休みモードになり。「ウリャ〜〜がんばる〜っ。」と思うと、ベイビーもウニウニ〜〜と動くみたいな感じ。

助産師さんに言われて、「何が何でも6時の壁を越えるぞ〜。ウリャ〜っ。」と思ったところからが早かった。陣痛の山がぐぐっと来て引きそうになったときに、さあもう一回。とわたしが思うとベイビーそれに答えてグググ〜〜〜〜。それを繰り返してまだまだ続くのかと思った瞬間。何かがどろろんと出てきた感じ。

助産師さん、「ありゃりゃ切れたみたいですね。」
どろろんは出血だったみたい。

そこからが早かった。「このままで行くと出血で貧血になるから切ります!」ということになり、先生がやってきて、ベッドからガチャンガチャンと音をたててグリップと足置きが出てきて、よくある出産の体勢になり。プチンプチンと切られて(痛くなかった)。
先生が「はい、意気んで〜〜。」と言うなりお腹を押されたと思ったら、ヌルリンとベイビーが出て来て、ギャオ〜ンと泣いたではあ〜りませんか。

え、もう終わり?

と思っているうちに血みどろのベイビーが胸の上に置かれ、顔を見たら、想像していたしわくちゃおサルさんじゃない。おもわず「かわいい〜。」と口から出た。
ここから親ばかは始まるんだ〜と実感。

ここで、おわり。
と言いたいけど、後産と切ったところの縫うのが残っていた。

胎盤が出てくる時は、うえ〜〜。っと言う感じの感覚。
胎盤が人より大きくて普通500gくらいなのに700gを越えていたらしい。見せてもらったけど、紫色してた。

で、裂けたところと、切ったところを縫うのが痛かった。
麻酔うってるはずなのに、針がチクと刺さるのも、糸がキュイ〜〜〜ンってのびるのも全部痛い、縫われながら、イダダ、イダダ。とはずかしげもなくうめいていた。

我ながら驚きのあっという間の5時間だった。

それにしても、書きながら驚くのが、もうあの痛さと苦しさを忘れていること。
女性には忘れる力が備わっていると聞いたことがあるが、本当にそうなのね。
だから、生めるのかな〜。

f.

生まれたばかりのピカリちゃん